【感想】雲を愛する技術

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 夏の入道雲、雨空のどんよりした雲、綿あめのようなふわふわした雲や飛行機雲、空を見上げると毎日様々な雲が浮かんでいます。

 子供の頃は空を見上げて、あの雲は〇〇の形!こっちの雲は△△!とか言ってた気がしますが、就職して日々の仕事に追われる生活になり、めっきり空を見上げることが減ってしまいました。もしかしたら私と同じような方がおられるかもしれません。

 しかし思い出してほしいのです。雲はいつもそこにあり、雲を愛でるのは人間の心の在り方ひとつであることを。そして今日紹介する本がこちら

 雲を愛する技術 著 荒木健太郎

著者の荒木氏のツイッターアカウントはコチラ

雲に対する愛を爆発させつつ、気象情報などを分かりやすくツイートされています。

さて、雲を愛する技術って何ぞや?と思われた方が大多数だと思いますし、私もそうです。しかし愛するというのは単純な話で、

「雲が好きだ」「雲はどうやってできるんだろう」「なんで形が違うんだろう」

 そんな単純な好奇心こそが雲を愛する気持ちの第一歩。そしてこの好奇心が最も大事と述べられています。まぁ当然と言えば当然で一切興味のないことや人のことを知ろうとする人はなかなかいませんよね。

 さて、雲は結局のところ水蒸気なんですが、著者の荒木氏曰く、雲を見ることで大気の流れや温度、湿度、粉塵の有無まで”見える”そうです。何を馬鹿な、と思ったそこのあなた、実はこれ、特定の分野に限らず、ある程度究めてくると普通にあることのようで、私の大学時代の優秀な電気工学部の先輩は、電気回路を見ると「電流の流れが見える」と言っていました。また、別の学部の材料力学を教える教授は「応力の流れが見える」とおっしゃっていました。

 おそらく音楽のプロには私には聞こえない音が聞こえ、スポーツのプロには私には見えない光景が見えているのでしょう。そんなわけで雲を愛してやまない、雲のプロである荒木氏には雲を見るだけで様々な気象条件が見えておられるようです。

 さて、本書は雲の分類から始まり、その雲がどのような気象条件で発生するか、観測の仕方などがかなり詳細に書かれており、その中でも特筆すべきはほとんどの雲の写真がフルカラーで掲載されいる、しかもQRコードをスマホで読むことで動画も見ることができるというところでしょう。なにせ相手が雲です。イラストが乗っていても実物と比べるとちょっと・・・ってなることが多いはず。個人的には彩雲や薄明光線の写真が好みです。

 さて、雲をこよなく愛する荒木氏ですが、雲を愛するだけで本書を書かれたわけではありません。雲は平時は美しい、心を落ち着かせてくれる存在ですが、気象の変化が真っ先に現れるのも雲なのです。

 近年、地震、台風にとどまらず、人命にかかわるような豪雨など気象災害が発生しない年はありません。気象災害は人知を超えたものであるため、災害自体をどうこうはできないのですが、その前兆を察知し適切に非難するなどの対応は可能です。雲を愛する技術、すなわち危険な災害の前兆としての雲を発見できるスキルさえ身に着けることができれば、それは素晴らしい身を守る技術でしょう。

 時に心を癒し、時に災害の前兆を知らせてくれる雲、そんな雲を愛する技術をみにつけてみませんか?

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