私、趣味で篆刻を嗜んでいるのですが、この篆刻というジャンル、めっちゃ不人気なんですよね。書道人口自体が減ってきているという話もありますがその中でも篆刻やってる人がめっちゃ少ない。
もしかしたら篆刻をやってみたいけどとっかかりが・・・とか、やってみたいけど周りにいないから作業手順よくわからないし・・・という人がいるかもしれません。いたらいいな。
なんやかんやで不人気極まる篆刻ですが、書道において姓名印や雅号印は無くてはならないもの。ブログのネタがなくなってきたので最近友人の印を彫る機会があったのでその手順をまとめて紹介したいと思います。
準備するもの
- 印材:これがなくては始まりません。目的に応じたサイズの石を買いましょう。
- 篆刻字典:私は篆書印譜字典 (蓑毛政雄 編)を使ってます。
- 紙やすり:印面を整えるのに使います。荒いのと普通のと細かいのがあればいいかと。
- 墨(普通のと朱墨):2種類用意しましょう。
- 厚紙:印稿は少し厚めの紙のほうが破けなくていいです。
- マジックインキ(黄):転写する際に使用します。黄色にしておきましょう。
- 印刀:字を彫るときの道具です。彫刻刀よりも専門の道具のほうが楽かと。
- 印床:小さい印を彫るときはあったほうが楽です。
- 印矩:なくてもいいけどあったら便利。
- 印泥:せっかくの篆刻、朱肉じゃあんまりです。
ざっとこんな感じです。消耗品は墨と紙と紙やすりくらいですので一度揃えてしまえば10年単位で使えます。だいたいアマゾンか書遊ネットで揃います。
印稿を作る
篆刻において最も重要な工程です。全行程の80%くらいこの印稿の作成にかかってます(私だけかもしれませんが)。要するに印の設計図ですね。
左から15mm角の白文、20mm角の白文、60mm角の朱文です。白文は字を彫るので押したときに字が白く、朱文は周りを彫るので字が赤く(印泥の色)になります。
黒の墨と朱墨で何度も修正を重ねるので油絵みたいになってますね。
この時必須になるのが篆書字典。篆書体も色々ありまして、金文、大篆、小篆等々・・・また崩し方なんかも実例がないと分かりませんよね。
印の出来はほぼこの時点で決まります。頑張って印稿を作りましょう。
印面を整える
印面(字を彫る面)を紙やすりを使って平らにしましょう。目安としてはデコボコや段が見えなくなるくらい。私の師匠はピカールという研磨剤で磨くらしいですが、私は1200番くらいで仕上げてます。気になる人はとことんやってください。すごい人の技術はすごいですね。
転写する
以前は地道に鏡を見て転写していましたが最近はこれ。
考えた人マジで天才だと思います。鏡を使って石に字を写すのは
- 時間がかかるし
- そもそも全く同じにならないし
- とにかく時間がかかるし
とろくなことがありません。篆刻の工程において最もクリエィティブな要素がない工程ですので可能な限り楽をしましょう。転写が終わった様子が下の写真。ちなみに石を固定している木製の万力のようなやつが印床です。
彫る
転写した字を彫りましょう。基本的に黒い部分を彫ります。
彫ってるときにちょっとした失敗をするかもしれません。しかし、そんなときはボブ・ロスの言葉を思い出しましょう。
失敗なんてない、すべては楽しいアクシデントなのだ。
ボブ・ロス「Joy of painting」
ボブ・ロスの絵画教室、いいですよね。心が落ち着きます。
閑話休題
力を入れすぎて石を真っ二つにしても瞬間接着剤でくっつけられますのであまり気にしなくていいかと思います。多少線がゆがんでもそれはそれで味わい深いものです。線が消えて別の文字に見える場合はちょっとまずいですが。最悪、やすりで削ってリセットできますので気楽にやりましょう。
で、一通り彫ったのが下の画像になります。
おしてみる
一通り彫ったら捺してみましょう。彫り残しなどが見つかりますので修正箇所を確認したらまた彫りましょう。何回か繰り返して満足いったら完成です。
1回目 完成版
左が最初の物、右が何回か修正したものになります。ちなみに印泥ってのは下の図のようなもの。朱肉でも写るけどそこは印泥を使ってほしいなぁ。
やってることは単純ですね。おそらくもっとも難易度が高いのは印稿の作成、次に道具をそろえることでしょう。特に印材を安く買えるかどうかは重要です。
長々書いてきましたが篆刻の工程の紹介でした。
それではよい篆刻ライフを。
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